ATAカルネ発給申請業務の代行業務を無事完了できました
貿易関係の手続きを取り扱っている行政書士の橋本です。
今回、新規業務としてATAカルネの発給業務にあたらせて頂きました。
ATAカルネとは、貨物の国際間の一時的な移動に伴う輸出入手続きを簡単に、そして免税で行うための条約に基づく通関手帳です。
主に、博覧会、演奏会等の一時的に持ち出して、持ち帰るものを対象に発行されます。
ATAカルネは日本商事仲裁協会へ申請するのですが、10年ほど前に業務にしようか検討した際はまだ電子申請ができず、当事務所であれば大阪市内の商事仲裁協会大阪事務所へ書類を持ち込みする必要があり、遠方のため取り扱い業務から外しておりました。
しかし、今回ある公的団体様よりカルネ取得でお困りのご相談があり、調査しましたところ、電子申請と手続きが変わっておりました。
大阪事務所は廃止され、東京事務所へ電子申請する方法に統一されておりました。
過去に業務出来なったことが、時代の流れとともに代行しやすくなって業務として取り扱えるように変化していたのでした。
こういう事情で今回は受任させて頂き、今年一番の重要な業務として取り組みました。
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申請業務は申請者登録から必要で煩雑
実際に行ってみた感想は、出来るのですが、確認業務が煩雑と感じました。
申請情報を入力するにあたり、確認をしなければならないことが多く、大変でした。
貨物の持ち主である名義人、輸送業者などに細かな情報を確認しなければなりません。
通関上発生するであろう確認ポイントを予想して、カルネの記載方法を考えて、税関に通関を止められないように考える必要がありました。
時間のある方でしたらご自身でカルネ申請を行う事は可能です。
ただし、通関に不慣れ、輸送業者もカルネ申請に協力してくれないような場合は、なかなか大変かと思います。
今回の案件で感じたのは、輸送業者が思いのほか通関に関する知識がなく、お客様任せであったということです。
通関業を行っていない輸送のみの業者の場合は、通関を他社通関業者に委託していますので、通関に関する知識が浅い場合があります。
手間のかかる手続きは、お客にしてもらい、運ぶだけという感覚の輸送業者でした。
大手の国際複合一貫輸送を行う業者であれば、カルネ等の他法令と呼ばれる部分でもまとめて代行してくれるのではと思いましたが、大手は一元は取り扱いませんから、そのあたり複雑な事情があってその隙間を埋める形で、行政書士が参加させていただいたというところです。
全体的な感想として
行政書士としてみると、申請作業自体はパソコンとマニュアルを読むことが出来るなら、貿易業務をとりあつかわない行政書士でも可能と思います。ただし、通関の実務、通関の他法令、通関業界の慣習的な知識などがない行政書士にはちょっと荷が重いかなと思いました。
カルネ申請は発給されて終わりではありません。
海外で荷物がカルネが適切に使用され、日本に帰ってきて完了となります。
日本の通関、海外での通関での懸念ポイントを想像し、対策をしておかないとカルネをとっても通関できなかったり、多額の輸入税が発生したりすることが考えられますので、結構リスクがあると思いました。
お客さんからもらった貨物データを、なにも考えず転記するのは危険すぎると思います。
自らが通関を想像してチェックできるぐらいでないと、カルネに不適切な記載をそのまま書いて進めてしまいトラブルなど最悪です。
いろいろ考えることのあるカルネ申請でしたが、とりあえず無事終わって良かったです。